このページの要点
- フリーランス法は、相手方が特定受託事業者(従業員を使わない個人、代表者のみで従業員もいない法人)に当たるかを出発点に、発注者の義務を分ける。
- 発注者は、明示の義務を負う業務委託事業者と、支払期日や禁止行為なども負う特定業務委託事業者(従業員を使う、または二以上の役員がいる)に分かれる。
- 取適法は、五つの類型と、資本金または従業員の数の組み合わせで決まり、委託する側になれるのは法人だけである。
- 両方の法律に関わる取引があり、適用関係は所管官庁の解説で確認する。契約書には、相手方の状況の通知と変更の通知を置く。
結論:判定は「取引の種類」「相手方」「自社」の三つを、この順に当てはめる
「自社は、フリーランス法や取適法の義務を負う発注者に当たるのか」という疑問は、発注者の側だけを見ても答えが出ません。フリーランス法は、受ける側が「特定受託事業者」に当たるかどうかを出発点にして、発注者の義務の重さを分けています。取適法は、委託する側と受ける側の資本金または従業員の数と、委託の類型の組み合わせで対象を決めています。どちらも、三つの要素を順に当てはめる作業になります。
- 取引の種類:自社の事業のために、他の事業者に、物品の製造・加工、情報成果物の作成、役務の提供を委託しているか。
- 相手方:個人で従業員を使用しないか、法人で代表者以外に役員がおらず従業員も使用しないか(フリーランス法)。または、資本金・従業員の数が一定以下の事業者か(取適法)。
- 自社:従業員を使用するか、法人で二人以上の役員がいるか(フリーランス法の特定業務委託事業者)。または、資本金・従業員の数が一定を超える法人か(取適法の委託事業者)。
このページは、判定の順番と、条文の言葉の意味を整理します。判定の結果を踏まえた発注の流れ全体は外注の流れと義務の全体像のページに、条件の明示の具体的な書き方は発注条件の明示のページにあります。
相手方が「特定受託事業者」に当たる条件(フリーランス法)
フリーランス法2条1項は、特定受託事業者を、業務委託の相手方である事業者で、次のいずれかに当たるものと定めています。
- 個人であって、従業員を使用しないもの
- 法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの
ここでいう「役員」は、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役、またはこれらに準ずる者とされています(同項2号括弧書き)。したがって、代表者一人だけの会社(いわゆる一人会社)は、従業員を使っていなければ、特定受託事業者に当たります。他方、代表者のほかに取締役や監査役がいれば、役員が二人以上いることになり、特定受託事業者から外れます。
判定で迷いやすい点が三つあります。第一に、事業者であることが前提です。個人であっても、事業として仕事を受けている必要があります。第二に、従業員の意味です。何をもって「従業員を使用する」とするか(雇用の期間や労働時間をどう見るか)は、法律本文だけでは細部が確定しません。所管官庁の解説資料の原文で確認が必要な点です。第三に、時点です。委託をした時点で相手方が特定受託事業者に当たるかを考えるため、外注先が途中から従業員を雇ったり、法人化したりすると、判定が変わる可能性があります。
なお、フリーランス法の「業務委託」は、2条3項で、事業者がその事業のために他の事業者に委託する次の二つの行為と定められています。
- 物品の製造(加工を含む。)または情報成果物の作成を委託すること
- 役務の提供を委託すること(他の事業者に自らに対して役務の提供をさせることを含む。)
「情報成果物」は、プログラム、映画や放送番組その他影像・音声・音響により構成されるもの、文字・図形・記号やこれらと色彩の結合により構成されるもの、そしてこれらに類するもので政令で定めるものです(2条4項)。ソフトウェア、動画、デザイン、文章、画像などが典型です。「事業のために」委託することが要件なので、個人が自分の私的な用事で頼む依頼は、ここでいう業務委託に当たりません。
発注者は「業務委託事業者」と「特定業務委託事業者」に分かれる
フリーランス法は、特定受託事業者に業務委託をする事業者を「業務委託事業者」(2条5項)と呼び、そのうち次のいずれかに当たるものを「特定業務委託事業者」(同条6項)と呼んで、義務に差をつけています。
- 個人であって、従業員を使用するもの
- 法人であって、二以上の役員があり、または従業員を使用するもの
そのうえで、義務は次のように分かれます。
発注者のタイプと、受ける義務の目安(フリーランス法)
| 発注者のタイプ | 相手方が特定受託事業者のとき | 根拠 |
|---|---|---|
| 従業員を使わない個人、代表者のほかに役員がなく従業員も使わない法人 | 条件の明示(3条)と、相手方が公正取引委員会または中小企業庁長官に申し出たことを理由とする不利益な取扱いの禁止(6条3項)。支払期日、禁止行為などの義務は、条文上、特定業務委託事業者に限られる。 | フリーランス法2条5項・6項、3条、6条3項 |
| 従業員を使う個人、二人以上の役員がいる法人、従業員を使う法人 | 明示に加えて、支払期日(4条)、禁止行為(5条)、募集情報の表示(12条)、配慮(13条)、相談体制(14条)、解除等の予告(16条)。ただし、禁止行為の一部、配慮、予告は一定の期間以上の委託に限る。 | フリーランス法2条6項、4条〜5条、12条〜14条、16条、施行令1条・3条 |
| 相手方が従業員を使う、または二人以上の役員がいる法人 | フリーランス法の対象にならない。取適法の基準に当たるかを別に確認する。 | フリーランス法2条1項 |
この表から読み取れるのは、「従業員がいない小さな発注者だから何も義務がない」とは言えないことです。明示の義務は、発注者の規模を問いません。また、支払期日や禁止行為の義務は、従業員を使っているかどうかや、役員が何人いるかで決まるため、一人で運営する会社でも、役員が二人いれば特定業務委託事業者に当たります。
フリーランス法の自己診断(発注者向け)
その依頼は、自社の事業のために、他の事業者に、物品の製造・加工、情報成果物の作成、役務の提供を委託するものですか。
はい次の問いへ進みます。
いいえ事業のための委託でなければ、フリーランス法の「業務委託」に当たりません。
相手方は、従業員を使用しない個人ですか。または、代表者以外に役員がおらず従業員も使用しない法人ですか。
はい相手方は特定受託事業者に当たる可能性があります。次の問いへ。
いいえ相手方は特定受託事業者に当たらず、フリーランス法の対象外です。取適法の判定へ進みます。
自社は、従業員を使用していますか。法人の場合は、二人以上の役員がいますか。
はい特定業務委託事業者に当たり、明示、支払期日、禁止行為などの義務を確認します。
いいえ業務委託事業者として、明示の義務(3条)と、申出を理由とする不利益取扱いの禁止(6条3項)を確認します。
委託は、一月以上の期間にわたるものですか(更新により一月以上続くことになるものを含みます)。
はい5条1項の禁止行為(受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入の強制)も対象になります。
いいえ5条1項は対象外ですが、5条2項(経済上の利益の提供の要求、やり直しの強制等)は期間にかかわらず対象です。
委託は、半年以上の継続的なものですか(更新により半年以上続くことになるものを含みます)。
はい13条1項の配慮の義務と、16条の解除等の予告の義務の対象になります。
いいえ13条2項の配慮は努力義務で、16条の予告の義務は生じません。
最終的な適用の判断は、条文の言葉と所管官庁の解説で確認が必要な部分があります。
具体的な組み合わせで確かめると、次のとおりです。ここでは、委託の内容が「業務委託」(事業のための物品の製造・情報成果物の作成・役務の提供の委託)に当たることを前提にしています。
発注者と相手方の組み合わせ別の確認先(フリーランス法)
| 発注者 | 相手方 | 確認する義務 |
|---|---|---|
| 従業員のいない個人事業主 | 従業員のいない個人 | 明示(3条)と、申出を理由とする不利益取扱いの禁止(6条3項)。支払期日以降の義務は、条文上は特定業務委託事業者に課される |
| 従業員のいない個人事業主 | 代表者のみの法人(従業員なし) | 同上。相手方は法人であっても、代表者以外に役員がなく従業員もいなければ特定受託事業者に当たる |
| 従業員を一人でも使う個人事業主 | 従業員のいない個人 | 明示、支払期日、禁止行為、募集情報の表示、配慮、相談体制、解除等の予告。期間による限定がある義務は、期間を確かめる |
| 代表取締役と取締役がいる株式会社(従業員なし) | 従業員のいない個人 | 役員が二人以上いるため特定業務委託事業者に当たり、上の行と同じ義務を確認する |
| 従業員を使う法人 | 従業員を使う個人事業主(その人が雇う従業員がいる) | 相手方は特定受託事業者に当たらないため、フリーランス法の対象外。取適法の基準を別に確認する |
| 代表者のみの法人(従業員なし) | 代表者のみの法人(従業員なし) | 発注者は特定業務委託事業者に当たらない。明示(3条)と、申出を理由とする不利益取扱いの禁止(6条3項)を確認する |
表の最後の行は、一人会社どうしの取引です。両方とも小さな会社であっても、発注する側に明示の義務があることを示しています。また、発注者の側の「役員」には、取締役だけでなく、監査役などを置いている場合も数えられます(2条1項2号括弧書きの役員の定義は、6項2号でも用いられます)。社内でどの肩書きの人が役員に当たるかは、登記の事項と合わせて確認します。
取適法:委託事業者・中小受託事業者の基準と、五つの類型
取適法は、旧下請代金支払遅延等防止法を改称・改正した法律で、2026年1月1日に施行されました。フリーランスに発注する会社が、この法律の対象に入ることがあります。個人が相手方になる場合、取適法では「中小受託事業者」に個人が含まれるためです。
取適法の対象かどうかは、二段階で決まります。第一に、委託の類型です。取適法2条6項は、製造委託等を五つに分けています。
取適法の五つの類型(2条1項〜5項)
| 類型 | 内容の要約 | 注意 |
|---|---|---|
| 製造委託 | 業として行う販売や請け負う製造の目的物などの製造を他の事業者に委託すること。自社で使う物品の製造を業として行う場合の委託も含む。 | 物品が中心 |
| 修理委託 | 業として請け負う物品の修理の全部または一部を他の事業者に委託すること。 | 修理を請け負っている場合 |
| 情報成果物作成委託 | 業として提供・請け負う情報成果物の作成の全部または一部を委託すること。自社で使う情報成果物の作成を業として行う場合の委託も含む。 | プログラム、映像、デザイン、文書など。自社の販促物を自社用にだけ作らせる場合は、類型に当たるかを個別に確認する |
| 役務提供委託 | 業として行う提供の目的たる役務の提供の全部または一部を他の事業者に委託すること。 | 建設業者が請け負う建設工事を他の建設業者に請け負わせることは除かれる |
| 特定運送委託 | 業として行う販売・製造・修理・作成の目的物などの運送の全部または一部を委託すること。 | 運送が中心 |
ここで、「自社で使うだけの外注は対象外」と単純には言えない点に注意が必要です。情報成果物作成委託の定義は、自らが業として提供・作成する情報成果物の作成を委託する場合のほか、自社が使用する情報成果物の作成を業として行っている場合の委託も含みます。自社でそのような作成を業として行っていない、たとえば広告用のデザインを単に外注して自社で使うだけの場合は、類型に当たらない可能性があります。この場合も、フリーランス法は適用されます。
第二に、委託事業者と中小受託事業者の規模の組み合わせです(2条8項・9項)。要約すると次の表のとおりです。
取適法の規模の基準(2条8項・9項の要約)
| 区分 | 委託事業者(委託する側) | 中小受託事業者(受ける側) |
|---|---|---|
| 資本金:製造委託、修理委託、特定運送委託、プログラムの作成を内容とする情報成果物作成委託、運送・物品の倉庫における保管・情報処理を内容とする役務提供委託 | 資本金が3億円を超える法人 | 個人、または資本金3億円以下の法人 |
| 同上 | 資本金が1000万円を超え3億円以下の法人 | 個人、または資本金1000万円以下の法人 |
| 資本金:上記以外の情報成果物作成委託、役務提供委託 | 資本金が5000万円を超える法人 | 個人、または資本金5000万円以下の法人 |
| 同上 | 資本金が1000万円を超え5000万円以下の法人 | 個人、または資本金1000万円以下の法人 |
| 従業員:製造委託等(上の区分の分け方に従う) | 常時使用する従業員が300人を超える法人 | 常時使用する従業員が300人以下の個人または法人 |
| 従業員:上記以外の情報成果物作成委託、役務提供委託 | 常時使用する従業員が100人を超える法人 | 常時使用する従業員が100人以下の個人または法人 |
表のうち「政令で定める情報成果物・役務」は、取適法2条8項1号の政令(情報成果物及び役務を定める政令)で、プログラム、運送、物品の倉庫における保管、情報処理とされています。従業員の基準は、資本金の基準に当たる組合せの取引を除いて適用される形になっています(2条8項5号・6号の括弧書き)。
見落としやすいのは、委託事業者になるのは法人だけという点です。2条8項の各号は、いずれも「法人たる事業者」を委託する側の要件としています。したがって、個人事業主が自分の判断でフリーランスに発注する場合は、取適法の委託事業者には当たりません。この場合に問題になるのは、フリーランス法です。また、一定の規模の法人に役員の任免などで支配される法人が、受けた仕事の全部または相当部分を再委託する場合に、取適法の適用上、再委託する側を委託事業者とみなす規定もあります(2条10項)。
取適法の自己診断(法人の発注者向け)
自社は法人ですか。
はい次の問いへ進みます。
いいえ個人事業主は取適法の委託事業者に当たりません。フリーランス法の判定へ。
委託は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託のいずれかに当たりますか。
はい次の問いへ進みます。
いいえ類型に当たらなければ、取適法の対象外です。
自社の資本金と、相手方の資本金(または個人であること)の組み合わせが、上の資本金の基準に当たりますか。
はい取適法の委託事業者と中小受託事業者に当たります。
いいえ次の問いへ進みます。
自社と相手方の常時使用する従業員の数が、上の従業員の基準に当たりますか。
はい取適法の委託事業者と中小受託事業者に当たります。
いいえ取適法の対象外です。ただし、フリーランス法の対象になることがあります。
取適法の対象になる場合、支払期日、明示、禁止行為、遅延利息、書類の作成と保存の義務が生じます(3条〜7条)。
取適法の対象に当たると、委託事業者には次の義務が課されます。フリーランス法の義務と似た部分もありますが、条文の言葉と範囲が異なります。
取適法の主な義務(3条〜7条)
3条(支払期日)
代金の支払期日は、検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日(役務は提供を受けた日)から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に定める。定めがなければ受領した日、60日を超えて定めたときは、受領した日から60日を経過した日の前日が支払期日とみなされる。
4条(明示)
委託をしたら直ちに、給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法などを書面または電磁的方法で明示する。書面の交付を求められたときの対応も定められている。
5条1項(禁止行為)
受領拒否、支払期日の経過後の不払い、代金の減額、返品、買いたたき、購入・利用の強制、公正取引委員会などへの申告を理由とする取引の数量の削減などの不利益な取扱い。役務提供委託と特定運送委託では、受領拒否と返品は対象から外れる。
5条2項(利益の保護)
原材料等の対価の早期の支払・控除、経済上の利益の提供の要求、責めのない相手に対する内容の変更・やり直しの強制、費用の変動などの際の協議に応じない一方的な代金の決定。役務提供委託と特定運送委託では、原材料等に関する規定は対象から外れる。
6条(遅延利息)
支払期日までに代金を支払わなかったときは、受領した日から60日を経過した日から支払をする日までの期間について、未払金額に公正取引委員会規則で定める率(年14.6%)を乗じた額を遅延利息として支払う。
7条(書類の作成・保存)
給付、受領、代金の支払などを記載した書類または電磁的記録を作成し、保存する(保存は、記載すべき事項の全部を記載した日から二年間)。
取適法の遅延利息の率は、取適法6条1項・2項の率を定める公正取引委員会規則で定められています。フリーランス法には、これに当たる遅延利息の定めはありません。
両方の法律に関わる場合の整理と、判定を契約書に落とす表明条項
同じ取引が、取適法とフリーランス法の両方の対象になることがあります。たとえば、資本金が一定以上の法人が、従業員を使わない個人に、情報成果物の作成を委託する場合です。取適法の明示に関する公正取引委員会規則4条3号は、取適法の製造委託等がフリーランス法の業務委託にも当たる場合を想定した定めを置いています。ただし、どちらの規定がどのように優先して適用されるかは、条文だけでは断定できません。所管官庁の解説資料の原文で確認が必要です。
判定の結果を契約書に落とすと、運用が楽になります。発注の前に、相手方の状況を確認する条項を置く方法です。
条文例第○条(受託者の状況の通知)
- 乙は、本契約の締結時に、次のいずれに当たるかを甲に通知する。(1)個人であって、従業員を使用していない、(2)法人であって、代表者以外に役員がおらず、従業員を使用していない、(3)前二号のいずれにも当たらない。
- 乙は、前項の内容に変更があったときは、遅滞なく甲に通知する。
- 甲は、第一項及び第二項の通知の内容に応じて、本契約及び個別の発注に基づく取引の運用を定める。
通知は判定の手がかりであって、事実を変えるものではない
書き方の例(一般的な例) 適用の有無を契約書に書くときの書き方
適用の有無
理由法律の適用は、契約で決めるのではなく、事実が条文の要件に当たるかで決まる。適用の有無を書いても、事実が要件に当たれば義務は生じる。
従業員の状況の変化
理由外注先の状況が変わると、適用される規定が変わる。変化に気づく手段を置く。
確認の問いと理由判定のために相手方に確かめておく問い
個人か法人か。法人なら、代表者以外に役員がいるか
特定受託事業者に当たるかを分ける最初の事実です。登記の事項で確認できる部分もあります。
従業員を使用していないか
何を従業員とみなすかは、所管官庁の解説で確認が必要です。通知の形で確認を取っておくと、後で説明できます。
資本金の額と常時使用する従業員の数はいくらか(法人の場合)
取適法の基準は、資本金と従業員の数で決まります。自社の数字も、委託のたびに確認します。
委託の内容は、製造、修理、情報成果物の作成、役務の提供、運送のどれか
取適法は五つの類型で絞られます。契約の名前ではなく、実際の仕事の中身で見ます。
判定は、相手方の状況の確認と、自社の状況の確認の両方が必要です。
起きがちなこと
判定でつまずきやすい場面
- 「相手は個人事業主だから、フリーランス法だけを考えればよい」と考えていた。自社が一定規模以上の法人で、取適法の基準にも当たっていた。
- 「うちは従業員がいないので、フリーランス法の義務はない」と考えていた。明示の義務は、従業員の有無にかかわらず生じる。
- 外注先が途中で法人化し、さらに役員を置いたため、特定受託事業者に当たらなくなった。契約書は変わっていなかったため、適用される規定の変化に誰も気づかなかった。
- 契約書に「本契約にはフリーランス法を適用しない」と書いた。適用は条文の要件に当たるかで決まり、契約で外すことはできない。
- 自社で使う広告やウェブ素材を外注するだけだから、取適法とは無関係と考えた。自社が作成を業として行っているかどうかで、類型への当てはまりが変わる。
判定を終えたら、次は発注条件の明示で、示すべき事項の項目を確認します。支払期日の数え方は報酬の支払期日、禁止行為は禁止行為の点検のページで扱います。元請として再委託するときの特例は元請としての再委託のページに置いています。
よくあるご質問
個人事業主として一人で運営しています。従業員はいません。フリーランスに仕事を頼むと、どの義務がありますか?
特定受託事業者に業務委託をするときの条件の明示(フリーランス法3条)と、相手方が公正取引委員会または中小企業庁長官に申し出たことを理由とする不利益な取扱いの禁止(同法6条3項)は、従業員を使用しない発注者にも課されます。支払期日(4条)、禁止行為(5条)などは、条文上「特定業務委託事業者」に課される義務です。従業員を使用する個人や、二以上の役員がある法人などが、これに当たります(2条6項)。
代表者一人の会社に発注する場合、相手方は特定受託事業者に当たりますか?
法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しないものは、特定受託事業者に当たります(フリーランス法2条1項2号)。代表者のほかに取締役や監査役などの役員がいる場合や、従業員を使用している場合は、当たりません。従業員の意味の細部は、所管官庁の解説で確認が必要です。
資本金1000万円の会社が、個人のデザイナーに発注する場合、取適法の対象になりますか?
取適法の基準は、委託の類型と、双方の資本金・従業員の数の組み合わせで決まります。委託事業者の資本金が1000万円ちょうどの場合、「1000万円を超え」を要件とする区分には当たりません(2条8項2号・4号)。ただし、従業員の数による基準(同項5号・6号)に当たる場合があります。類型と数字を、条文の区分に当てはめて確認します。
取適法とフリーランス法の両方に当たる場合、どちらを守ればよいですか?
両方の対象になり得る取引があることは、取適法の明示に関する公正取引委員会規則4条3号が、フリーランス法の業務委託にも当たる場合に触れていることから読み取れます。どちらがどのように適用されるかは、条文だけでは断定せず、所管官庁の解説資料の原文で確認します。実務では、両方の義務を満たす運用にしておくと、確認の手間が少なくなります。
外注先に「従業員はいない」と言われました。その言葉を信じて問題ありませんか?
特定受託事業者に当たるかは、事実によって決まります。相手方の通知は判定の手がかりになりますが、事実を変えるものではありません。契約書に、状況の通知と、変更があったときの通知を置いておくと、運用の根拠が残ります。通知と実際が違うと分かったときは、その時点から適用される規定に合わせて運用を見直します。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、委託の内容や相手方の事業の形によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 公正取引委員会 / 厚生労働省 / 中小企業庁