フリーランスに仕事を頼む会社・個人事業主の方へ発注書と契約書で、
発注側の義務を果たす
フリーランスに仕事を頼むとき、発注する側には「条件を書面かメール等で示す」「受け取った日から60日以内に報酬を払う」「受け取った後で一方的に減額しない」といった決まりが、委託の内容や取引の長さに応じて課されます。法律の名前だけを知っていても、契約書の条項、発注メール、経理の締め日、検収の運用のどこで守られるのかは見えにくいものです。このガイドは、発注する側の目線に絞って、対象になるかの判定、条件の明示、報酬の決め方と支払期日、仕様の固まらない発注と追加依頼、検収、禁止行為の点検、成果物の権利、発注前の見積りとお試し作業、元請として再委託するときの注意、契約の終了の予告、相談体制の整備、トラブルが起きたときの流れを、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)、取適法、民法、著作権法の条文と書き方の例で整理した解説集です。受注する側の確認ポイントは、別のガイドで扱います。
フリーランスへの外注を始めた方

発注の流れと、各段階での義務の全体像から
外注を始めたとき、契約書を出せばよいのか、発注メールで足りるのか、法律のどこまでが自分の義務なのかは、見えにくいものです。発注前、条件の明示、作業、受領、検収、支払、終了という流れに沿って、発注者が負う義務を一覧にします。
基本契約と個別の発注書の組み合わせ、請負か準委任かで変わる条項の置き方、契約書がないまま始めた場合の最低限の整え方も、最初に押さえておきます。
自社が義務を負う発注者か知りたい方

特定受託事業者・特定業務委託事業者の判定
フリーランス法の義務は、相手方が従業員を使わない個人や一人の代表者だけの法人であるときに生じます。発注する側にも、明示の義務はすべての発注者に、支払期日などの義務は従業員を使う発注者に、と段階があります。
取適法の対象になるかは、資本金や従業員の区分と、委託の類型で決まります。自社の発注をあてはめる順番を整理します。
発注書やチャットでの依頼を整えたい方

何を、いつ、どの方法で示すか
発注のたびに契約書を作る余裕がなく、チャットやメールで依頼する運用は少なくありません。示すべき事項と、電磁的方法で示したときの書面交付の請求への対応を、項目ごとに整理します。
仕様が固まらないまま始めるときの未確定事項の示し方と、確定後に出し直す手順も書いておきます。
報酬の支払期日と締め日を整えたい方

受領日から60日以内の数え方
月末締め翌月末払いなら、いつも60日以内に収まるとは限りません。支払期日の起算は、請求書の到着ではなく、成果物や役務を受け取った日です。検査をしても、期日は動きません。
請求書が遅れたら期限を延ばす条項、不具合を理由に報酬を留保する条項が、支払期日の決まりとどう衝突するかを整理します。
自社の雛形が禁止行為に当たらないか不安な方

受領拒否・減額・返品・やり直しの点検
1か月以上続く委託では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入の強制が禁止されます。契約書に入りがちな「不合格なら減額」「再提出は無制限」「納品後の返品」といった条項が、この禁止行為とどう関わるかを点検します。
協賛や無償サンプルなど、経済上の利益の提供の要求も、点検の対象です。
契約を終えたい・更新したくない方

終了の予告、理由の開示、自動更新
一定の期間を超えて続いた業務委託を終えたり更新しなかったりするときは、あらかじめ予告をする決まりがあります。予告の方法、日数の数え方、予告が要らない場合を整理します。
任意解除の条項に予告の日数と精算を入れる書き方、自動更新の更新拒絶の期限も扱います。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
フリーランスに仕事を頼むとき、契約書は必ず作らなければなりませんか?
フリーランス法は、契約書の作成そのものではなく、委託をしたときに直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などの事項を書面または電磁的方法で明示することを求めています(3条)。契約書にこれらを書けば足りますし、発注書やメール、チャットで示すこともできます。ただし、電磁的方法で示した場合に相手方から書面の交付を求められたときの対応など、細かい決まりがあります。口頭だけで始めることは避けます。
報酬は月末締め翌月末払いにしていれば、60日以内に収まりますか?
収まらないことがあります。支払期日は、給付を受領した日(役務の提供なら提供を受けた日)から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定める必要があります(フリーランス法4条)。月の初めに受領したものを翌月末に払うなら60日を超え得ます。請求書の到着を起算点にする書き方も、法定の起算の考え方と食い違い得ます。数え方は、支払期日のページで例を挙げて整理します。
「契約に書いてあるから」と、検収で不合格なら報酬を減らしてよいですか?
一定の期間以上の委託では、責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額することが禁止されています(フリーランス法5条1項)。契約書に減額の条項があっても、禁止行為に当たる運用はできません。検査の基準を仕様と結び付け、不適合には追完や再提出を求める形に整えます。禁止行為の点検は、条項のタイプごとに整理します。
取適法とは何ですか。フリーランスへの発注にも関係しますか?
取適法は、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の略称で、2026年1月1日に施行され、旧名称は下請代金支払遅延等防止法です。委託事業者と中小受託事業者の資本金や従業員の区分、委託の類型で対象かどうかが決まります。同じ取引が取適法とフリーランス法の両方に関わり得ることもあるため、対象の判定のページで順番を整理します。
半年以上続けて頼んでいるフリーランスとの契約を終えるとき、何か決まりがありますか?
継続的な業務委託で一定の期間以上のものを、解除したり更新しなかったりするときは、原則として一定の日数前までに予告をする決まりがあります(フリーランス法16条)。予告が不要な場合も定められています。予告の方法、日数の数え方、理由を聞かれたときの対応は、契約の終了のページで整理します。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日